結納とは
昔から人には一生に経験する大切な三礼(誕生・婚礼・葬礼)があり、
その一つである婚礼には三つの儀式(結納・結婚・披露)があります。
その内の最初の儀式である結納の儀とは、「両家の家族が新しい絆で結ばれたことを祝い、婿側の感謝の心を形にしたものを納める」と意味で行われる重要な儀式です。
これにより二人と両家の親が二人の婚礼を正式に確認し、新たな夫婦となる二人を両家で支えていくことを誓うこととなります。
結納の歴史
結納の起源は、1400年前の仁徳天皇の時代まで遡ると言われております。
日本書紀に仁徳天皇の皇太子(後の履中天皇)が羽田矢代宿禰の娘、黒媛を妃とされた時に納菜が送られました。これが現在の結納に当たります。
その後、室町時代に小笠原家などによって結納の作法が整えられました。その当時は、公家や武家の間で結納は行われました。
江戸時代になり、裕福な商家でも結納・結婚式の行事が行われるようになりました。
明治以降に庶民でも行なわれるようになり徐々に広がっていきましたが、第二次世界大戦後さらに一般に行われるようになりました。
結納品の一つとして打掛は非常に高価であったため、一般には留袖を婿側から送られるようになりました。戦後しばらくして、貸衣装の普及と共に花嫁が打掛を着るようになり、そのころから留袖の代わりに結納金としてお金が送られるようになりました。
日本はもともと母系社会であり、平安初期「妻問い婚」・平安中期「招婿婚」という形で、男性が女性側へ寄っていく形でした。
室町以後、武家の天下となり父系社会が確立し、「嫁取り婚」へと変わっていきました。
結納は、地方の風習や流儀に影響を受けながら、全国に浸透定着していきました。結納に込められた思いとしては、相手側に対する感謝や礼節の気持ちを形に表したもので、嫁を貰う代償としての金品を贈る「売買婚」とは異なるものと考えられます。
結納の儀式は、何百年の歳月を掛け作り上げたその土地に根付いた大切な生活のしきたりの一つです。その土地で育まれた「良き日本文化」であり「地方の生活文化」であります。
結納の語源
諸説ありますが、「結のもの」(宴席で共に飲食する酒と肴を意味する)や「云納(いい入れ)」 (婚礼を申し込む)から転じたものと言われています。
中国の「礼記」には、婚礼に先立って行われる六つ儀礼「納采(のうさい)・問名(ぶんめい)・納吉(のうきつ)・納徴(のうちょう)・請期(せいき)・親迎(しんげい)」が日本の似通った風習と結び付き、日本語化したものと考えられます。
結納の基本品と意味
中京式(愛知・岐阜・三重)の結納品は七品を基本として用意します。
関東式では、九品を基本とするように地域により異なります。
結納の七品
祝い事には必ずつけるもので『のし鮑(あわび)』という、あわびを長くのばし干したもので長寿を表しています。
かめばかむほど味が出るのでこのような夫婦になってくださいという意味が込められています。
麻は白髪に似ているので、共に白髪が生えるまで仲睦まじく添い遂げるようにという意味が込められています。
こんぶは、強力な生命力と繁殖力があることから子宝に恵まれるようにという意味が込められています。
先に行くほど広がることから繁栄を祈るという意味が込められています。
花嫁衣装を贈ったため「小袖」と呼び、今は女性側にお好きな衣装をお選びくださいという思いでお金となりました。
柳の白木で造られた樽にお酒を入れて「両樽壱荷」と称し、二本贈られました。今では代わりにお金を贈られることが多くあります。
戦後、結美和(ゆびわ)を贈るようになり一品加わった八品が基本となりました。お祝い事は、割れない奇数を選ぶため、熨斗を七品全体のもの解釈して数に入れない場合があります。
結納の貴重な品々は、このような願いや思いを込め用意されます。また、女性側から用意する場合には、勝男武士を一品加えます。そして、下のように一部字を変えて用意されます。
関東式の結納品は、下記の九品を基本としております。
①熨斗
②目録
③金包(「帯地料」又は「袴料」)
④勝男節
⑤寿留女
⑥子生女
⑦友白髪
⑧末広
⑨家内喜多留
松竹梅鶴亀の飾りの意味
年中緑を保ついことから、気持ちの変わらぬこと、永久に栄えることを願う | |
まっすぐ成長し、弾力があり折れにくいことから、潔白・節度を意味する | |
厳寒に耐え春に先駆けて花をつけ、実を結ぶことから忍耐と家庭の行末を願う | |
古来より千年の命を保ち、貞節ある鳥の象徴とされている | |
万年の命を保ち、夫婦の和合を願う |